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Designer’s Note | My Mind. #003

Designer's Note "My Mind"

デザインは、絵を描くことだけじゃない。

――「描く」よりも、「考える」。

「デザイナー」と聞くと、どんな人を想像するでしょうか。

紙に向かって鉛筆を走らせる人。

美しい絵を描く人。

IllustratorやPhotoshopを巧みに操る人。

ファッションなら、服のデザイン画を描く人。

もちろん、それもデザイナーの一つの姿だと思います。

でも、私にとってのデザインは、それだけではありません。

むしろ、

デザインは「描くこと」よりも、その前にある「考えること」のほうが重要だと思っています。


■ 私は、絵を描くことからデザインを始めない。

私は、いわゆる「絵が上手な人」ではありません。

手で美しい絵を描いて、それをそのまま作品にする。

そういうタイプのデザイナーではありません。

私はPCを使って、頭の中にあるイメージを少しずつ形にしていきます。

文字を配置する。

形を組み合わせる。

線を引く。

画像を加工する。

色を変える。

バランスを調整する。

何度も試して、何度もやり直す。

そして、

「これだ。」

と思えるところまで持っていく。

だから私にとってデザインとは、

手の技術だけではなく、頭の中にあるイメージをどう現実に変換するかという作業

なのです。


■ デザインの始まりは「疑問」。

私が何かをデザインするとき、最初から「完成したもの」を考えているとは限りません。

むしろ、最初にあるのは疑問です。

「これって、こうしたら面白くないか?」

「普通はこうだけど、逆にしたらどうだろう?」

「この二つを組み合わせたらどうなる?」

「この意味を、別の形で表現できないか?」

そんな小さな疑問から、デザインが始まります。

例えば、スニーカーなら、

「スニーカーをデザインしよう。」

だけでは終わりません。

なぜその形なのか。

誰が履くのか。

どんな場所で履くのか。

履いた人にどう見えてほしいのか。

その靴を見た人に、どんな印象を与えたいのか。

そこまで考えて、初めてデザインが始まります。


■ 「かっこいい」だけでは足りない。

デザインをつくるとき、

「かっこいいものをつくりたい。」

という気持ちは当然あります。

でも、

「かっこいい」だけではブランドにならない。

私はそう考えています。

なぜかっこいいのか。

なぜこの形なのか。

なぜこの色なのか。

なぜこの文字なのか。

なぜこの場所に配置するのか。

そこに理由がある。

そして、その理由が積み重なったときに、デザインに「意味」が生まれる。

だから私は、

意味のあるデザイン

をつくりたいと思っています。


■ デザインは「引き算」でもある。

デザインというと、何かを足していく作業だと思われがちです。

ロゴを入れる。

文字を入れる。

色を入れる。

装飾を入れる。

写真を入れる。

でも、実際には逆のことも多い。

「何を入れないか。」

を決めることもデザインです。

一つの作品にアイデアを詰め込みすぎると、何を伝えたいのか分からなくなる。

だから、

これは必要なのか。

これは本当に意味があるのか。

この線は残すべきなのか。

この文字は必要なのか。

そうやって削っていく。

最後に残ったものが、本当に伝えたいものになる。

私は、この「引き算」をとても大切にしています。


■ 「線」一本にも意味を持たせる。

私のデザインでは、「線」が一つの重要な要素になることがあります。

一本の線。

たったそれだけでも、表現できるものはあります。

強さ。

柔らかさ。

スピード。

つながり。

人。

文字。

感情。

そして、時には「平和」というような大きなテーマまで。

一本の線をどう動かすか。

どこから始まり、どこへ向かうのか。

どこで交差するのか。

どこで終わるのか。

それだけでも、一つの物語になります。

だから、

シンプル=簡単

ではありません。

むしろ、シンプルにするほど、一つひとつの要素に意味が必要になる。

私はそう考えています。


■ デザインは「組み合わせる」ことでもある。

世の中には、すでにたくさんのものがあります。

ファッション。

音楽。

アート。

スポーツ。

映画。

ゲーム。

テクノロジー。

日本文化。

海外文化。

それぞれ単独で存在しているものを、別の組み合わせにしてみる。

すると、今まで見たことのないものが生まれることがあります。

私は、この「組み合わせ」が好きです。

例えば、

ファッション × アート

スニーカー × 日本文化

キャラクター × ファッション

デザイン × テクノロジー

ファッション × Web3

ジャンルの境界を越えることで、新しい表現が生まれる。

これも私にとって、デザインの面白さです。


■ デザインは「伝える」ためにある。

どれだけ美しいものをつくっても、

誰にも意味が伝わらなければ、

それはデザインとして十分ではないかもしれません。

もちろん、意味を明確に説明しなくても成立するデザインはあります。

「なんとなく好き。」

それも立派な感覚です。

でも、そこにさらに、

「このデザインには、こういう意味があるんだ。」

と知ってもらえたら、作品はもう一段深くなる。

だから私は、

見た瞬間のインパクト

知った後に残る意味

の両方を大切にしたいと思っています。


■ デザイナーは「翻訳者」なのかもしれない。

頭の中にあるアイデアは、そのままでは他の人には見えません。

自分だけが見えている。

そこで、それを

色にする。

形にする。

文字にする。

写真にする。

映像にする。

商品にする。

WEBサイトにする。

ブランドにする。

つまりデザイナーは、

頭の中にあるものを、他の人が理解できる形へ翻訳する仕事

なのかもしれません。

私はこの考え方が、自分のデザインにとても近いと思っています。


■ PCは「道具」でしかない。

私はPCを使ってデザインします。

でも、PCそのものがデザインを生み出してくれるわけではありません。

どれだけ高性能なソフトを使っても、

何をつくりたいのか。

何を伝えたいのか。

誰に届けたいのか。

それがなければ、ただの操作になります。

だから、

道具よりも、アイデア。

技術よりも、発想。

もちろん技術は必要です。

でも、

「技術があるからデザインできる」

のではなく、

「伝えたいものがあるから、技術を使う。」

私はそう考えています。


■ AI時代だからこそ、人間の「考える力」が重要になる。

今、AIによってデザインを取り巻く環境は大きく変わっています。

画像を生成する。

アイデアを出す。

文章を書く。

写真を加工する。

映像をつくる。

以前なら何時間もかかっていたことが、短時間でできるようになっています。

私は、この変化を恐れるよりも、積極的に使っていきたいと思っています。

AIは、新しい道具です。

でも、

「何をつくるのか」

を決めるのは、やはり人間です。

AIに「かっこいいものをつくって」と頼むことはできる。

しかし、

「なぜ、これをつくるのか。」

まで考えることは、自分自身の役割だと思っています。

だからこそ、これからのデザイナーには、

考える力。

選ぶ力。

編集する力。

そして、

自分自身の世界観を持つこと。

が、より重要になっていくのではないかと思います。


■ 「上手い」と「面白い」は違う。

これは、デザインを始めた頃から感じていたことです。

技術的に上手な作品が、必ずしも一番人の心に残るとは限らない。

逆に、

少し不器用でも、

少し変わっていても、

「なんだこれは?」

と思わせる作品が、ずっと記憶に残ることがあります。

私は、

「上手いデザイン」よりも「面白いデザイン」をつくりたい。

そう思っています。

もちろん、クオリティは必要です。

でも、完成度だけを追い求めて、

「どこかで見たことがあるもの」

になってしまったら面白くない。

少しくらい、

「変だな。」

と思われてもいい。

その「変」が、

「面白い。」

に変わる瞬間をつくりたい。


■ 独創性は「ゼロから生まれる」のではない。

#002でも書きましたが、私は「独創性」という言葉を大切にしています。

ただ、独創性とは、

「誰も見たことがないものを、完全にゼロから生み出すこと」

だけではないと思っています。

世の中にあるものを知る。

自分の経験を重ねる。

そこから、自分なりの視点で組み合わせる。

そして、今までとは違う意味を与える。

その結果として、

「自分にしかつくれないもの」

が生まれる。

だから、デザインをする人間にとって、

「見ること」

も重要な仕事です。

いろいろなものを見る。

いろいろな人を見る。

いろいろな文化を見る。

いろいろな時代を見る。

そして、

「なぜ、これは人の心を動かすのだろう?」

と考える。

その積み重ねが、自分の引き出しになっていく。


■ デザインは人生にも似ている。

少し大げさかもしれません。

でも、私はデザインと人生には似ているところがあると思っています。

人生も、

何を残すのか。

何を捨てるのか。

誰と出会うのか。

何を選ぶのか。

どこへ進むのか。

その一つひとつの選択で形が変わっていきます。

デザインも同じです。

一つの線。

一つの色。

一つの文字。

一つの選択。

その積み重ねで、一つの作品になる。

そして人生もまた、

一つひとつの経験が積み重なって、

「自分」という作品

になっていく。

だから私は、

デザインをすることは、

自分自身をデザインすることにも少し似ていると思っています。


■ これからも「考える」。

これから先も、私はデザインを続けていきます。

VIVIANT WOLF。

LINO MANON。

RAVIT THREE SEVEN。

KIWAME ZYOSHI。

XCROSS DASH JAPAN。

そして、これから生まれる新しいプロジェクト。

そのすべてで、

「何をつくるか」

だけではなく、

「なぜ、つくるのか。」

を考えていきたい。

デザインソフトを開く前に考える。

線を引く前に考える。

商品をつくる前に考える。

ブランドを立ち上げる前に考える。

そして、

考えたものを現実にする。


■ 最後に。

私は、デザインが上手だからデザイナーなのではないと思っています。

「これを形にしたい。」

という気持ちがある。

「こんなものがあったら面白い。」

と考える。

「まだ誰もやっていないなら、やってみよう。」

と思う。

そして、

頭の中にあるものを、

一つずつ現実にしていく。

その繰り返しをしているから、

私は自分をデザイナーと呼んでいるのだと思います。

だから、

デザインとは、描くことだけではない。

デザインとは、考えること。

そして、

考えたものを、現実の世界へ届けること。

それが、私にとってのデザインです。

これからも、

考えて。

つくって。

失敗して。

また考えて。

そして、まだ見たことのないものを形にしていきたいと思います。


KENJI FUKUMOTO
Designer / Creative Director
XCROSS DASH JAPAN

Design the future.
Create your own story.

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