なぜ、私はブランドをつくるのか。
――「もの」をつくるのではなく、「世界」をつくる。
前回の「My Mind. #001」では、初めてこのサイトを訪れてくださった方へ向けて、KENJI FUKUMOTOというデザイナーについて、そしてこの公式サイトを立ち上げた理由について書きました。
今回は、もう少しだけ深いところに入ってみようと思います。
それは、
「なぜ、私はブランドをつくるのか。」
ということ。
VIVIANT WOLF。
LINO MANON。
RAVIT THREE SEVEN。
そして、これから生まれてくるかもしれない新しいブランド。
なぜ一つではなく、いくつものブランドをつくるのか。
自分でも、ときどき考えます。
そして、たどり着く答えは、
「表現したいものが、一つではないから。」
なのだと思います。
ブランドは「名前」ではない。
私にとってブランドとは、ロゴや商品名だけではありません。
一つのブランドには、
世界観があり、
思想があり、
デザインがあり、
物語がある。
そして、そのすべてが一つにつながって、初めて「ブランド」になる。
例えば、同じデザイナーがつくったとしても、VIVIANT WOLFとLINO MANONが同じである必要はありません。
むしろ、同じではいけないと思っています。
それぞれに違う個性があっていい。
違うターゲットがいていい。
違うファッションがあっていい。
違う世界観があっていい。
だから私は、ブランドをつくるとき、
「何を売ろうか?」
というところから考えるのではなく、
「どんな世界をつくろうか?」
というところから考えます。
「商品」をつくることと、「ブランド」をつくること。
Tシャツを1枚つくることはできます。
スニーカーを1足つくることもできます。
ロゴをつくることもできます。
しかし、それだけではブランドにはなりません。
商品は「もの」です。
ブランドは、その「もの」の向こう側にあるものだと思っています。
例えば、一枚のTシャツを見たとき、
「このデザイン、かっこいい。」
と思ってもらう。
それはもちろん大切です。
でも、
「このブランドだから欲しい。」
と思ってもらえるようになったら、そこにはもう一つ上の価値が生まれている。
私はそこを目指したい。
ただ商品を販売するのではなく、
「この世界観が好き。」
と言ってもらえるブランドをつくりたい。
なぜ、複数のブランドをつくるのか。
では、
「一つのブランドに全部詰め込めばいいのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
確かに、その方法もあります。
でも、私の頭の中には、いろいろなアイデアがあります。
エレガントなもの。
ストリートなもの。
遊び心のあるもの。
アートのようなもの。
強さを感じるもの。
シンプルだけど意味のあるもの。
未来的なもの。
そして、ときには、
「こんなものをファッションにしていいのか?」
と思われるようなものまで。
それらを一つのブランドにすべて入れてしまうと、世界観がぼやけてしまいます。
だから、
表現したい世界ごとにブランドをつくる。
それが、私にとって自然な方法なのです。
VIVIANT WOLFという「強さ」。
VIVIANT WOLFには、私が考える「強さ」を込めています。
スニーカーというアイテムをベースにしながら、ファッション、アート、ストリート、ラグジュアリーなど、さまざまな要素を掛け合わせていく。
時には大胆に。
時には繊細に。
「普通のスニーカーでは物足りない。」
そんな人が見たときに、
「これは何だ?」
と思ってもらえるようなデザイン。
それも、ブランドにとって大切なことだと思っています。
ただ履きやすいだけではなく、
ただ高級なだけでもなく、
ただ奇抜なだけでもない。
履く人自身の存在感を引き出す。
それがVIVIANT WOLFで表現したい世界の一つです。
LINO MANONという「美しさ」。
LINO MANONでは、また違う世界をつくっています。
女性のファッション。
美しさ。
エレガンス。
そして、日常の中にある特別感。
ファッションは、誰かに見せるためだけのものではありません。
自分自身が鏡を見たとき、
「今日は少し違う自分になれた。」
そう思えることも、ファッションの大きな魅力だと思っています。
LINO MANONでは、
「女性が自分自身の魅力を楽しめるファッション」
を一つのテーマとして、世界観をつくっていきたい。
VIVIANT WOLFとは違う。
でも、根底には同じ「デザインへのこだわり」がある。
それが面白いところです。
RAVIT THREE SEVENという「遊び」。
そして、RAVIT THREE SEVEN。
このブランドは、もっと自由です。
ゴージャスベア。
777。
キャラクター。
遊び心。
ファッション。
そして、少しだけユーモア。
ブランドには、真面目さだけが必要なわけではありません。
私は、
「ファッションは、もっと楽しんでいい。」
と思っています。
着ているだけで少し楽しくなる。
持っているだけで少し嬉しくなる。
誰かに見せたくなる。
そんな感情も、デザインが生み出せる価値だと思っています。
だからRAVIT THREE SEVENでは、
「楽しい」という感情そのものをデザインする。
そんなことにも挑戦しています。
三つのブランド。それぞれ違う。でも、すべて自分。
VIVIANT WOLF。
LINO MANON。
RAVIT THREE SEVEN。
一見すると、まったく違うブランドです。
でも、すべて私がデザインしています。
「だったら、結局どれも同じなのでは?」
そう思われるかもしれません。
私は、むしろ逆だと思っています。
同じ人間がつくっているからこそ、
「違う世界をどこまでつくれるか。」
そこにデザイナーとしての挑戦があります。
自分の中にある一つのスタイルを繰り返すのではなく、
自分自身の中にあるさまざまな感性を、それぞれの世界として形にしていく。
それも、デザインの面白さだと思っています。
「売れるもの」と「つくりたいもの」。
ブランドを運営している以上、当然ながらビジネスとして成立させなければいけません。
商品をつくる。
価格を決める。
販売する。
宣伝する。
お客様に届ける。
これはクリエイティブだけでは完結しません。
しかし、
「売れそうだからつくる。」
だけになってしまったら、私がブランドをつくる意味がなくなってしまう。
だから私は、
「自分がつくりたいもの」
と
「お客様が欲しいもの」
その両方を大切にしたいと思っています。
この二つが重なった瞬間に、ブランドとして一番強い商品が生まれる。
私はそう考えています。
デザインに「正解」はない。
デザインには、数学のような絶対的な正解があるわけではありません。
かっこいいと思う人もいれば、
「ちょっと派手すぎる。」
と思う人もいる。
シンプルなものが好きな人もいれば、
大胆なデザインを求める人もいる。
だから、
全員に好かれるデザインをつくろうとは思っていません。
むしろ、
誰かの心に強く残るデザイン。
それをつくりたい。
100人に「普通にいい」と思ってもらうより、
10人でも、
「これ、めちゃくちゃ好き。」
と言ってもらえるもの。
そんなデザインには、ブランドを育てる力があると思っています。
「独創性」とは何なのか。
私がデザインを考えるとき、いつも意識している言葉があります。
独創性。
でも、独創的なデザインをつくることは簡単ではありません。
世の中には、すでに無数のデザインがあります。
服もある。
靴もある。
ロゴもある。
キャラクターもある。
アートもある。
だから、
「今まで誰も見たことがないものをつくる。」
ということだけが独創性ではないと思っています。
既に存在するものを組み合わせる。
視点を変える。
意味を変える。
使い方を変える。
異なるジャンルを融合する。
そして、自分自身の経験や感性をそこに加える。
そうすることで、
「まだ見たことのないもの」
が生まれることがあります。
私にとっての独創性とは、
「自分にしかできない組み合わせを見つけること。」
なのかもしれません。
デザインは、頭の中から始まる。
私はデザインを考えるとき、最初から完成形が見えているわけではありません。
頭の中に、
「こうしたら面白いかもしれない。」
という小さなアイデアが生まれる。
そこから形を考える。
色を考える。
文字を考える。
意味を考える。
何度も修正する。
そして、少しずつ現実のものになっていく。
だから私にとって、
デザインとは「想像すること」から始まる。
そして、
想像を現実にするために行動すること。
そこまで含めてデザインだと思っています。
これからも、ブランドは増えるかもしれない。
この先、私は新しいブランドをつくるかもしれません。
新しいプロジェクトを始めるかもしれません。
ファッションではない何かをデザインするかもしれません。
AI。
NFT。
WEB。
アート。
メディア。
新しいテクノロジー。
これまで経験してきたものと、これから出会うもの。
それらを組み合わせていけば、まだまだ新しい表現ができると思っています。
だから、
「KENJI FUKUMOTO=このジャンルのデザイナー」
と決めつけるつもりはありません。
むしろ、
「KENJI FUKUMOTOだから、こんなことをやるんだ。」
と思ってもらえる存在になりたい。
ブランドをつくることは、自分自身をつくること。
今振り返ると、
VIVIANT WOLFも、
LINO MANONも、
RAVIT THREE SEVENも、
単なるブランドではありません。
その時々の自分が考えていたこと。
挑戦したかったこと。
表現したかったこと。
それらが形になったものです。
だからブランドをつくることは、
自分自身の一部をつくることでもある。
そう思っています。
そして、これから生まれるブランドも、
その時の自分が考えていることを映し出す鏡になるでしょう。
最後に。
私は、ブランドをつくることが好きです。
新しいデザインを考えることが好きです。
「こんなものをつくったら面白いんじゃないか?」
と考える時間が好きです。
そして、それが実際に形になり、
誰かがそれを見て、
「面白い。」
「欲しい。」
「好き。」
と言ってくれた瞬間が、何より嬉しい。
だからこれからも、ブランドをつくり続けます。
一つに絞る必要がないのなら、一つに絞らなくてもいい。
違う世界を表現したいのなら、違うブランドをつくればいい。
失敗したら、また考えればいい。
新しいものを思いついたら、挑戦すればいい。
それが、
KENJI FUKUMOTOというデザイナーの「My Mind.」
なのだと思います。
次回は、さらに一歩踏み込んで、
「デザインは、絵を描くことだけじゃない。」
というテーマについて書いてみたいと思います。
私にとってデザインとは何なのか。
なぜ「デザインする」という言葉を、単純に「絵を描くこと」とは考えていないのか。
そんな話を、次回のDesigner’s Note | My Mind. #003で綴ります。
KENJI FUKUMOTO
Designer / Creative Director
XCROSS DASH JAPAN
Design the future.
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