完成したデザインを見て、初めて気づくこと。
――一足のスニーカーが完成しても、デザイナーの仕事は終わらない。
VIVIANT WOLFから、新しいスニーカーが発売されました。
今回、形になったのは、
MODEL-B003 ZIPPER ANKLE SNEAKER
そして、
MODEL-B006 FASHION STRAP HIGH TOP SNEAKER
です。
B006は5つのカラーバリエーションを含め、今回の新作は全6モデル。
すべてMade in Italy。
すでにKENJI FUKUMOTO OFFICIAL DESIGNER WEBSITEのVIVIANT WOLFカテゴリでは、それぞれのスニーカーについて詳しく紹介しています。
ですから、今回の「My Mind.」では、商品の仕様を改めて説明するつもりはありません。
今回お話ししたいのは、
「このスニーカーが完成したとき、デザイナーである私は何を見ていたのか。」
ということです。
頭の中にあったものが、現実になる。
デザインをしているとき、私はまず頭の中でイメージします。
色。
形。
素材。
ライン。
パーツ。
全体のバランス。
PCの画面を見ながら、
「ここをもう少しこうしたらどうだろう。」
「このラインは少し太いほうがいい。」
「この色を入れたら面白い。」
そんなことを考えながら、一つずつ形にしていきます。
その段階では、まだそれは自分の頭の中にある世界です。
画面に表示されていても、それはあくまでデザイン。
実際に手に取れるものではありません。
だから、初めてサンプルが完成して手元に届いたときには、少し不思議な感覚があります。
画面の中にあったものが、
本当に「物」になっている。
自分が考えたものを手で触ることができる。
角度を変えて見ることができる。
光を当ててみることができる。
そして、実際に履くことができる。
この瞬間は、デザイナーとして何度経験しても特別です。
平面から立体へ。
PC画面で見るデザインと、実際のスニーカーは同じではありません。
画面では平面だったものが、現実では立体になる。
正面から見たとき。
横から見たとき。
斜めから見たとき。
上から見たとき。
履いたとき。
それぞれ違った表情があります。
例えば、B003のようにジッパーを取り入れたデザインなら、画面上では「ジッパーがここにある」ということしか分からない。
でも、実物になると、
ジッパーがどの角度で光を反射するのか。
ボディの素材とどう組み合わさって見えるのか。
歩いたときにどんな存在感になるのか。
そこまで見えてきます。
デザインを「描く」ことと、デザインを「プロダクトにする」ことは、同じではありません。
その違いを知ることも、デザイナーの仕事だと思っています。
素材が変える、デザインの表情。
今回のVIVIANT WOLFでも、素材は重要な要素でした。
私は以前の「My Mind.」で、
「他にはない素材を使ったスニーカーをつくってみたい。」
というところからVIVIANT WOLFのものづくりを考えてきたことを書きました。
素材は、単なる表面ではありません。
同じ黒でも、
マットな黒。
光沢のある黒。
柔らかな黒。
立体的な黒。
それぞれ違います。
光が当たったときにも違う。
触れたときにも違う。
写真で見たときにも違う。
そして、実際に履いたときにも違う。
だから私は、デザインを考えるとき、
「この形に、この素材を使ったらどうなるのか。」
というところまで考えます。
デザインと素材は、別々のものではない。
一緒になって初めて、一つの表情になります。
完成したからといって、100点とは限らない。
これは、デザイナーとして大切にしていることの一つです。
自分でデザインしたものだからといって、
「これは完璧だ。」
とは、あまり思いません。
むしろ完成したものを見ると、
「ここはもっと良くできるかもしれない。」
と思うことがあります。
最初に考えたときには気づかなかったこと。
実物になったから分かったこと。
実際に手に取ったから見えたこと。
それらが次のアイデアになります。
だから、
完成=終わり
ではない。
完成した瞬間に、
「次はどうしよう?」
が始まります。
「もっと良くしたい」は、終わらない。
デザインをしていると、
「これで完成。」
というところまで持っていかなければなりません。
商品として世の中に出す以上、いつまでも修正を続けるわけにはいきません。
発売日もある。
生産もある。
販売もある。
だから、どこかで決断する必要があります。
でも、デザイナーとしての頭の中では、
「もっと良くできるかもしれない。」
という気持ちは残ります。
私は、それでいいと思っています。
それがあるから、
次のモデルを考えられる。
次の素材を探せる。
次のカラーを考えられる。
次のコレクションをつくれる。
一つの商品に満足しすぎてしまったら、そこで止まってしまう。
だから私は、
「完成したものを認めながらも、次の可能性を探す。」
ということを大切にしています。
誰かが履くと、また違うデザインになる。
もう一つ、商品が完成してから初めて分かることがあります。
それは、
「人が履くと、デザインの見え方が変わる。」
ということです。
デザイナーが机の上で見るスニーカー。
モデルが履いて撮影したスニーカー。
街を歩いている人が履いているスニーカー。
すべて違って見えます。
服装が変われば違う。
体型が変われば違う。
歩き方が変われば違う。
合わせるパンツやスカートが変わっても違う。
だから、私はスニーカーをデザインするとき、
「靴そのものを完成させる」
だけではなく、
「その靴を履いた人が、どんなスタイルになるのか。」
ということも考えます。
デザイナーの想像を超えてほしい。
実は、これが一番嬉しいことかもしれません。
自分が想像していた以上に、
「この人が履くと、こんなに格好良くなるんだ。」
と思う瞬間。
デザイナーが決めたスタイルが、その人によって別のスタイルに変わっていく。
それは失敗ではありません。
むしろ、
デザインが自由になった瞬間
だと思っています。
私がつくったスニーカーを、購入してくれた人が自分らしく履いてくれる。
その瞬間から、そのスニーカーは私だけのものではなくなる。
それがファッションの面白さです。
「売るためのデザイン」と「残るデザイン」。
デザイナーとして、もちろん商品は売れなければいけません。
ブランドを運営する以上、
「欲しいと思ってもらえるか。」
「価格に見合う価値を感じてもらえるか。」
「実際に購入してもらえるか。」
それは非常に重要です。
でも、それだけを考えてしまうと、
「売れそうなもの」だけをつくる
ことになってしまいます。
私は、それだけでは面白くないと思っています。
売れるかどうかを考える。
でも同時に、
「自分が本当にこれをつくりたいと思っているか。」
も考える。
その二つの間でバランスを取る。
それも、ブランドデザイナーの仕事だと思っています。
「誰かの真似」から始めない。
ファッションの世界には、すでに素晴らしいデザインが無数に存在します。
だからこそ、完全に何もないところからデザインすることは難しい。
私自身も、さまざまなものから刺激を受けます。
しかし、
「あれに似たものをつくろう。」
から始めるのではなく、
「自分ならどうするだろう?」
と考える。
そこを大切にしています。
同じスニーカーでも、
違う素材。
違う色。
違うディテール。
違う組み合わせ。
違う意味。
そうやって自分の考えを重ねていく。
その結果として、
「KENJI FUKUMOTOらしい。」
と言ってもらえるものが生まれればいい。
6つの新作を見て、また次を考える。
今回のVIVIANT WOLF新作は、
B003。
そしてB006の5カラー。
合計6モデルです。
もちろん、今回の6モデルをつくるために多くのことを考えました。
でも、発売された今、私はすでに次のことを考えています。
「次は何をつくろう?」
新しい素材はどうだろう。
別のシルエットはどうだろう。
もっとシンプルにしたら?
もっと大胆にしたら?
全く違う方向に振ったら?
そうやって考えていると、また新しいアイデアが浮かんできます。
だから、
一つの商品が完成することは、一つの物語の終わりではない。
次の物語の始まりです。
デザイナーは、ずっと「考える人」なのかもしれない。
考えて。
つくって。
見て。
修正して。
完成させて。
そして、また考える。
これを繰り返しています。
だから、デザイナーという仕事は、
「絵を描く人」
だけではない。
「服をつくる人」
だけでもない。
「靴をつくる人」
だけでもない。
もしかすると、
「まだ存在していないものを想像し続ける人」
なのかもしれません。
そして、その想像を現実にする。
それが私にとってのデザインです。
今回のスニーカーが教えてくれたこと。
B003とB006が完成して、改めて感じたことがあります。
それは、
「デザインは、一人では完成しない。」
ということです。
私がデザインする。
それを形にする人がいる。
素材を扱う人がいる。
靴として完成させる人がいる。
そして、それを購入して履いてくれる人がいる。
デザイナーの頭の中にあった一つのアイデアが、多くの工程を通って、最後に誰かの足元へ届く。
そのすべてがあって、
初めて一つの商品になります。
だから私は、
ものづくりに関わるすべての人へのリスペクト
を忘れたくありません。
そして、次のデザインへ。
今回のスニーカーを発売したことで、
「VIVIANT WOLFは完成した。」
とは思っていません。
むしろ逆です。
ここから、また新しいスタートです。
今回の経験から得たもの。
完成した商品を見て気づいたこと。
そして、実際に手に取ってくれた人から感じること。
それらすべてを次のデザインへつなげていきたい。
B003から次へ。
B006から次へ。
一本の線が途切れずに続いていくように。
最後に。
私は、デザインをするとき、
「これをつくったら終わり。」
とは考えません。
むしろ、
「これをつくったら、次に何が見えてくるだろう?」
と考えます。
頭の中にあったものが形になる。
形になったものを見る。
そこから新しい発見が生まれる。
その発見から、また次のアイデアが生まれる。
その繰り返し。
だから、
デザインは終わらない。
完成したデザインは、次のデザインへの入口です。
今回発売されたVIVIANT WOLFの新作も、
私にとってはゴールではありません。
次の一足へ進むための、新しいスタートです。
これからも、
考えて。
つくって。
見て。
また考える。
そして、
まだ見たことのないものを、現実の世界へ。
それが、KENJI FUKUMOTOとして、これからも続けていきたいデザインです。
KENJI FUKUMOTO
Designer / Creative Director
VIVIANT WOLF
DESIGN THE FUTURE.
CREATE YOUR OWN STORY.
VIVIANT WOLF NEW SNEAKERS
今回発売されたVIVIANT WOLFの新作について、モデルごとの詳しいデザイン、カラー、価格、予約・購入条件などは、KENJI FUKUMOTO OFFICIAL DESIGNER WEBSITEのVIVIANT WOLFカテゴリにて紹介しています。



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